2020年秋アニメに一言(3、4話)(11/23)

『魔女の旅々』3、4話

3話前半は人を養分にするこわい花畑の話で、後半でイレイナちゃんが魔法を使ってその不幸の連鎖を解決するのだろうと思ってたら、後半は全然関係ない、「幸せを瓶に詰めてるサイコパス」の話になっちゃった!(どういうことだ?)

3話に来ていきなり意味がわからないことに。

仮に原作がそうでも、その通りアニメ化しなくてもいいはずで、花の話は、イレイナちゃんの魔法使いとしてのプライドからして解決するのが自然だし(そうでないとイレイナちゃんのナルシスティックなほどの自尊心が独りよがりの空疎なものになってしまいます)、後半の話は奴隷の少女の最後の涙からして、あの村長の息子と平和な将来を送るのだと、そう締めくくればいいのに不穏な感想を残すのは変です(不穏に終わらせるなら、少女が泣いたあと、村長の息子くんの抱擁を少女が嫌がるなり逃げ出すなりの描写が必要です。その後も二人揃って旅立つイレイナちゃんを見送ってはいけません)。最後のイレイナちゃんの一言は、ただイレイナちゃんの性格が歪んでいるという印象しか与えません。

原作のおかしさをアニメは補わないといけません。加えてアニメはストーリーの意図を映像で明瞭に伝えないといけません。そのどちらもができてないように見えました(花の話はまだホラー小話として受け入れられても、村の話はちょっとびっくりでした)

4話。一緒に闘ってくれるという申し出にメリットがないと断るイレイナちゃん。イレイナちゃんは本当に独りよがりなのだということがわかりました。かなり問題ありなその性格には驚きですが、4話はストーリー自体に難があるわけではありません。

イレイナちゃんの利己主義的性格がなろう系の、俺つえー系の流れを受けているのがわかります。それ自体はよいとしても、このアニメが1、2話で開いていた、少女の“成長”物語の可能性が、この性格によって(この性格から伺える作品類型の特徴からして)途絶したことは残念です(全体を俯瞰したときに2話と3話の繋がりが切れていることがわかるでしょう)

関係ないですが、ChouChoさんのED、『魔法使いの嫁』のOPに似てませんか。

 

『戦翼のシグルドリーヴァ』3、4話

3話は、死神と呼ばれるほど仲間を亡くし、見送ってきた主人公が、自分だけでなく館山基地の皆も死にゆく仲間を見送ってきたのだと知り、自己の苦悩から世界の苦悩へと視界が開いていくストーリー。よかったですね。でも個人的に、この手の作品には、自我に閉じこもっていて欲しいですが、そういう作品ではなさそうなのでしょうがない(百合日常ものの流れを受けての、三人称の作品なのだ)

4話、ギャグ回を挟む余裕があったのか。

 

ご注文はうさぎですか? BLOOM』3、4話

リゼシャロの通うお嬢様高校の紹介の後に、ここあ・ちやの通う一般的な高校の紹介。最初にお嬢様高校の華美を褒めて、マヤメグの二人がそこを進学先に決める。その後にここあ・ちやが自分たちの学校で、学園祭の準備をクラスメイトと楽しそうにしている様を描き、お嬢様高校にはない和気藹々とした校風を見せる。学園祭にヒロインの皆で行くなど、その学校の描写を更に加える。そして最後にチノちゃんはそこに進学しようと決めるのである。施設的に偏差値的にお嬢様高校の方がいいはずだが、その基準では測れない学校のよさを、学園祭の準備と実施という(前者の高校と比べて)2倍の描写量で描いている。それによりお嬢様高校との条件差を埋め、学校の魅力のバランスを取っているのだ。両校の生徒が制服を互いに着合う(着せてもらう-着させてあげる)という挿話は、象徴的な互酬である。このバランス感覚と、思いやりの応酬こそ、この作品の長所であり、百合日常ものの長所だろう。

そして「終わらない学園祭前日」ではなく、ヒロインたちが学園祭を終え、ちまめの3人も進学という将来へ進んでいく、この時間の進みもまたごちうさの特徴だろう。

 

『アサルトリリィ』3、4話

ゆゆ、心開くの早い。

過去を仄めかしたりして、意味深な魅力のあるキャラだったのに、解けるのが早すぎです。確かに穏和な雰囲気の方がいいですが、まどマギ・ほむらちゃんみたいに引っ張ってもよかったと思います。今後どうなるかに期待。

 

安達としまむら』3、4話

4話。安達が三つある選択肢の中でカラオケを選んだのは「解釈違い」だったが、カラオケの雰囲気に馴染めないことを、その後二人が共有しあったため「解釈一致」に至った。

二人ともはしゃいで遊ぶのはガラではないのである。

宇宙人ロリにしまむらの関心を取られて嫉妬するのは流石に安達の常識を疑うが、そこは多めに見よう。

二人の顔に髪の毛の一本一本がまとわりついているように、このアニメは少女の面倒臭いほどに繊細な気持ちの揺らぎを、独白を通して視聴者の心にまとわりつかせる。見終わったあとには青春の香りが鼻についているのである。

 

『おちこぼれフルーツタルト』3、4話

そういえばシグルリも4話は水着回だった。なんで?
百合日常ものに求めるのは、大きな夢に向かっていく少女でもなければ大きな胸でもないというのは、私の好みというより持論でしょうか。日常の平凡さや、周辺的存在にとっての自信に満ちた平凡な生を肯定するのが百合日常ものであって欲しいですね。

 

『くまクマ熊ベアー』3、4話

OP、EDからはフェミニンを感じるけど、本編は、男が女性キャラを選んでゲームをしてるようで、主人公が女性であるがゆえの特徴がありません。

今更ですが、原作の順序を変えて蛇退治の話から始めたのは、株をやってて金持ちという設定が最初に出てくると、視聴者の気持ちが離れるからという配慮だったのでは(おそらく違う)

調べると主人公は現実には戻れない(つまりただVRゲームをしているだけの少女というわけではなくSAOみたいな設定)らしく、1話のせいか、その点がわかりにくくなってますね。

それにしても、

異世界転生ものは、伝統的なRPGゲームで無双する作品群なのだとすれば、ソシャゲで無双する作品群もあってもよさそうですが(異世界転生ものの中の一ジャンルとして?)、ソシャゲにはそれだけの共通の「形式」がないということなんでしょうか。ガチャを引いて美少女キャラを集めて多対多で闘うという形式はソシャゲの形式だと思いますが、その世界に行って無双すれば異世界転生もの@ソシャゲ版ができそうですよね(艦これのアニメが近いのかな(しかし転生はしてなさそうだし無双もしてなさそう))

 

『まえせつ!』3、4話

3話。ライバルであるJKクールのネタが面白くないと思うのですが、それは私の主観?(本来微妙でなくてはならない先輩の「ふりいくっ!」の漫才の方が面白かった気が……)

アニメで漫才は表現できないのか(ツッコミの声に元気がないのが原因なのかもしれない)

冒頭、部屋でのヒロインたちの様子を、テレビの視点で覗く演出はよかったですね。テレビは漫才をブームにした媒体ですから。ヒロインがライブの映像をYoutubeに投稿するところは現代的ですね。