2020秋アニメ(1、2話)に一言!(11/16)

『魔女の旅々』1話

師匠の理不尽な要求に対して我慢せず自分の気持ちを示せ(そして自分を守れ)、というのは、TwitterMetoo(女性の自立)やブラック企業への反発において見られる抵抗の言説と似ている。世相を意識したか。

そんなことより、主人公の声、花澤香菜だと思ったら花澤香菜は師匠の方だった(なんと!)

 

『戦翼のシグルドリーヴァ』1話

リゼロの作者のオリジナルアニメということですが、『結城友奈は勇者である』の作者タカヒロさんのオリジナルアニメ『RELEASE THE SPYCE』をなぜか思い出しました。つまり専門外の人に任せると失敗しそうでこわい。

謎の柱が地球に立って謎の生物が地球に危害を加えようとしているので戦闘美少女がパイロットとして空中戦で地球の危機を救うという設定。エヴァとか『ぼくらの』とか、最近だと『プラネットウィズ』とかありましたね。社会不在なのでセカイ系とも言える。

しかし『最終兵器彼女』だと、まるで作者が、個人的なほろ苦い恋愛の過去を、世界の崩壊という比喩を使って語っているような、私小説めいた陰湿さがあるので面白いのですが、この『戦翼の〜』は『デート・ア・ライブ』のように、ただ美少女が命をかけて闘うだけの、パニックもののスリル感に魅力の全てを預けているような感じがあります。

個人的な問題を表現するために世界が比喩にされる場合と、社会的な問題を表現するために世界が比喩にされる場合(『プラネットウィズ』はトランプ批判みたいな感じがしましたが)とがあって、そのどちらでもないエンターテイメントは、根っからの娯楽作品というのが自分の見方です。

1話に1時間かけてるしオリジナルアニメということで作画の気合いも十分ですが、その点が垣間見られて微妙。まどマギの後進作品が微妙だったのと同じ理由で微妙。

この微妙さをいつもなら「思想性がない」といいます。もちろん、思想性がなくても面白い物語は面白いのですが、さぁどうでしょう。

 

池袋ウエストゲートパーク』1話

石田衣良といえば池袋ウエストゲートパーク(でも直木賞4TEEN)。池袋ウエストゲートパークといえば石田衣良なんですが、今更のアニメ化です。

似てる作品で『デュラララ』が出るけど、最近のアニメだと『博多豚骨ラーメンズ』がある。

この手のジャンルは何ていうんだろう。不良少年もの?

今じゃ半グレなんて言葉もあるので、不良も可愛らしくありません。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4125548.html

頭にネジを突っ込まれます。

こういう不良ものに限らず、地名を全面に出したラノベがあってもよさそうだけど、思いつきませんね。みんな異世界へ行きすぎでは。

1話は導入としてはよかったかな。主人公は青物屋の息子。私の個人的な話ですが、青物屋の息子さんで、現役ヤンキーな人をこの間見かけたので、その設定(イメージ)はあながち現実と乖離しているわけではないという。

 

『アサルトリリィ』1話

舞台をやったりゲームをやったりアニメをやったり「メディアミックス」のお手本をやってるね。

https://www.azone-int.co.jp

ここプロジェクトの中心・アゾンさんのHPですが、古臭くていいね。

最初に映される「スイレン」の字。スイレン=water lily、lilyは英語で“百合”。純粋のイメージということで、リリィに込められた意味がわかります(つまり百合! 百合!)

そして江ノ電の「タンコロ?」という昔の電車に乗るところから始まります。また江ノ電! また鎌倉! 江ノ電、聖地疲れしてませんか。

そして主人公のタイツの上から漏れ出る太ももが、とんでもない丸み! ここまで太ももを女性器として描けるのはシャフトぐらい。

シャフトアニメということで、ヒロインのりりとゆゆがまどかとほむらにしか見えない。髪色も性格も。

場所とか時間のフォントは、もうちょっとカッコいいのでお願いしたいかな。

主人公・りりの声優は赤尾ひかるさん。『こみっくがーるず』、『えんどろ〜』(振り返るとどちらも良作!)で両方ともピンク髪の弱々しい主人公を演じてましたが、アサルトリリィでもそうですね。そういう声優として定着したということかな。

EDはまどマギのOPのそれですが、シャフトは同じ演出を使うね。

EDカードは氷川へきるさん。最近はVtuberのぽんぽこ・ピーナッツくんの生放送でコメントしてる常連のファンというイメージですが、ぱにぽにの作者です。

鎌倉の切通しでの戦闘がありましたね。鎌倉の切通しというと、鈴木清順ツィゴイネルワイゼン』では、生と死、あの世とこの世の境として効果的に使われていました。アサルトリリィは舞台が鎌倉なので、非日常、死のイメージを匂わせてるという解釈ができます。つまり切通しの奥に位置する学園は、あの世である。不穏なはじまりですね。

それはそうと、このアニメも『戦翼の〜』とかぶって「セカイ系」ですね。ʅ(◞‿◟)ʃ。。

 

ご注文はうさぎですか? BLOOM(第3期)』1話

種田さんって休業してたよなぁ、なんて思いながらリゼちゃんの声を聞く。

今まで気づかなかったが、ごちうさはシャロちゃんがいないと全員富裕層になるのだ。

OPは映画までの曲が良かった分、大久保さん、ちょっと今回はダメだったか?(意外とスルメ曲かもしれない)

10年後まで制服を着ると意気込む彼女たち。10年後……。百合日常ものでは、女の子たちが今を永遠にしようとする。その健気さは悲痛でさえある。

 

安達としまむら』1話

このアニメが今期一の可能性がある。

入間人間というと『電波女と青春男』が思い浮かびます。やっぱりセンスあるんでしょうね。

宇宙服を着たキャラは入間人間の個性だとして、安達としまむらの二人の繊細な関係は心にグッとくる。しまむらには友達がいるけど、安達には友達がしまむらしかいない。友達の友達とは仲良くなれないというのはどうしてかというと、付き合い方の様式が異なるからでしょう(そう考えると付き合い方にはかなりの種類がありそうだけど、実際にはそんなことはない)。自分も痛いほどわかる(落ち着いた付き合いでありたいのに、その友達と向こうの友達との間ではそうではないとかね)。そのあたりの事情(違和感の理由)もちゃんと独白のテクストとしてアニメに挿入されている。

安達としまむらの関係についての描写は普遍的。つまり意外とありふれてるけど、ラノベなんかではほとんど問題的に描かれないような、非類型であるような普遍。そこに焦点を当てるのは、タイトルに「青春」のつくそこらへんのラノベより「青春」を掬い取っている。見事。

「不良だからいいか」といって自転車を二人乗りするところは遊戯的で、日常の中で持っておくべき「ゆとり」が描かれており、作者の個的な人生観が顔を出している。だから“ベタな”ウユニ塩湖演出で彩られても、ベタさをさほど感じないのである。

制作の手塚プロダクションは、『五等分の花嫁』の燃え尽き作画崩壊の思い出しかないが、どうしてこれほど飛び抜けて画面が綺麗なのだ。是非この調子で続けてほしい。

 

『くまクマ熊ベアー』1、2話

絵がかわいいなと思って視聴を始めると、まさかの俺つえー系。VRゲーム=異世界ということで、女の子が俺つえーをするのですが、株をやってて親に大金を振り込む描写で見る気が失せました(というか15歳なんだよなぁ)。

 

(以下、Wikipediaより)

“15歳の女の子だが、(……)うるさい両親や面倒なクラスメイトとの交流を厭い、3年程前から引きこもり生活を送るようになる。凄腕のトレーダーとして株取引で億単位の金を稼いでおり、異世界に召喚されるまでは、その稼ぎで購入した高級マンションで一人暮らしをしていた。その頭脳・才覚から、大きな会社を経営している祖父からは自身の後継者としても見込まれており”

 

原作はなろうで書かれたということでお察し。俺つえーといえば『転スラ』を思い出します。意外と認知されてないかもしれませんが、俺つえーは現実世界でもお金持ちでエリートという設定がついてきます。すごいですね。しかしこんなジャンルに子供たち(?)はハマっちゃうわけです。この手の主人公は全員職業Youtuberにしてください。その方が子供たちにも受けるし、大企業エリートよりまだマシです(そうか?)

全話見るか見ないか悩みどころです。

 

ゴールデンカムイ』三期 1話、2話

言うことなし。

と思いましたが、1話からホモネタが多い。

乱用されるホモネタを同性愛差別の文脈で論じることもできる。しかし物語の中での機能を考えれば、この作品には女性のヒロインが存在せず、更に緊迫した展開が続くので、小休憩としてホモネタが使われるのだと考えられる。当然腐女子文化への目配せもある。アイヌが気軽に性的なことを口に出すように、男の裸とその関係を映すことで、アイヌと同じ自然性を強調しているのかもしれない。男性の裸や伝わってくる体臭が、読者や視聴者の自然を目覚めさせ、日本人を“人間”にし、アイヌと非アイヌの差別的境界を取り払ってゆく。ホモネタ、いや、ネタではないその同性愛描写は、実は政治的な企てなのだ(!)

 

トニカクカワイイ』1話、2話

高校受験に失敗して浪人。合格したけど高校行かずにバイト。主人公のその経歴に、作者の社会への慈愛を感じる。初デートが夜中のドンキで布団を買うというのも。風呂がなくて銭湯というのも。つまり庶民の感覚。

主人公の声優の榎木淳弥さん、声が面白い。笑いを誘う声だ。前は下野さんとかがこういう感じだった。適役ですね。

内容は夫婦の初々しい日常。どストレートなデレデレ。主人公の童貞感が気持ち悪くならないのは、絵の可愛さと声優のおかげか。こんなにどストレートなのろけ模様はアニメで見ることは少ないと思うが、これはオタク文化の底にある「かわいい」の力、それを信じているからこそできる作品なのだ。「かわいい」の点ではごちうさと被るが、しかし本作は、ごちうさにはない(今では)危険な異性同士の恋愛というテーマを、堂々と真正面に赤裸々に、暴露のごとく描く、そのために「かわいい」を利用しているのである。「トニカクカワイイ」。そう。“とにかく”カワイイを使って、異性愛恋愛を描いてやる。男性側の暴力などといってる時代に対しての、作者の「トニカク」の気概を感じるのである。

 

『おちこぼれフルーツタルト』1話

きららアニメだけどエロ多めという感じ。原作者は『ハナヤマタ』の人。たれ目が個性的。

アイドルを目指す話だが、アイドルものは好きではないので、エロ多めも含めて微妙である。

制作会社はfeel. 個人的にfeel.はエロのイメージがある。

モデルや歌手の「おちこぼれ」が集まってアイドルを目指すという設定は共感もできるし、適度なリアリティもあるが、日常ものや百合ものを期待する身としては、労働している女の子の姿はできるだけ見たくないと率直に思うものである。

 

『まえせつ!』1話

吉本興業が企画協力。芸人さんが声優で出てる。

キャラクターの絵は『らき☆すた』の美水かがみさん。

舞台はさいたま。そこもらきすたですね。

内容は、高卒でバイトしながら漫才師を目指す少女のお話です(トニカクカワイイは高校中退でバイトしてるので、高卒なだけ地位が高い?)

コロナの影響で放送開始が延期になったということなんですが、冒頭のエアバンド演奏のシーンから顔のアップが多くて、作画が心配である。

アイドルものにしても芸人ものにしても、現実では体育会系の人々の、闇な関係(人や女性を物として扱ってたり)を経験しないといけないと思いますが、それを言ってはおしまい。

漫才のテンポと萌えアニメのゆるいテンポは噛み合わないと思うのですが、そのあたりをどう調和させるかは、注意して見ていきたいと思います。